『埋もれ木』『誰も知らない』

今日は多摩センターであった第15回映画祭TAMA CINEMA FORUMに。以前から観たかったものの、見逃してしまい歯軋りして悔しがった『埋もれ木』がやるとのことなので、即行きましたとも。

埋もれ木
URL:http://www.umoregi.info/

スクリーンには虚構で満ちているがそれでいい。どの映像も時がゆっくり流れ、鮮やかな色をしている。ストーリーは特にないし、主人公を中心に世界が回るわけでもない。ただ断片的にそれぞれの人たちの夢や記憶が映しだされる。
片田舎の街並みや田園風景、いまどきの服装ではなく、言葉少なげにゆっくりしゃべる主人公達。その中にポツンと田園の中に存在するミニストップ。スクリーンの中では様々な時間が混在してるみたい。
それにしても突如姿を現す「埋もれ木」って何なんでしょうか?バラバラに映されていた皆がそこに集まり言葉を交わす。あまりよく分からなかったけど、凄く気持ちよくてもう一度観たい作品。

そいえば、今日小栗監督が『現実を現実として映すことに違和感を感じた』ということを言っていたのが印象的。あと『カメラを向けたとき映像がこちらに向かって現れてくることが少なくなった』という言葉も頭に残った。存在の非隠蔽性といったところか。というか対談途中で寝てすみません…。

あとこれも

誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

主演の柳楽優弥君のあの切れ目が素敵。強く、けどどこか泳いでいる目。巣鴨かどこかで実際にあった事件をモチーフにして作られたらしいが、子供たち4人による共同生活の様子を自然に描いている。四季折々の風景描写と実際に成長していく様が見れる子供たち、一貫した青白い色合いなどの映像はもちろんのこと、仲間はずれにされるシーンや、兄弟喧嘩など、観ている側の記憶を喚起させられるシーンがあってのめり込みました。
子供置き去り(→かわいそうな子供たち)という、マスメディアで流れそうな構図と相反するように、子供たちは4人で協力し合いたくましく生きている姿が描かれている。子供たちは彼らの世界を持って強く逞しく生きている。だからこそ観ていて歯がゆい。観ていて彼らの世界を壊したくない、との思いがした。だから歯がゆいのか。
ラストで主人公が空を見上げると太陽の光と飛行機の大きな音が聞こえるシーンが秀逸。青みがかった彼らの世界に白く明るい光が差し込んでいる。