就活中に読んではいけない本

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

就活中には絶対読んではいけない本のうちのひとつ。けど家に落ちていたのでこの時期に再び読んでしまいました。詳しくはこの本の解説において的確に問題が指摘されているけど、この本は徹底的に自分から見て仕事とは何かについて考察がなされています。ただの賃労働ではなく、真の仕事として著者が求めているのはずばり真理の追究に尽きると思います。
つまり社会的に価値のあると思われる仕事に就くだけでは人間は満たされることは決してない、何故なら人間にとっての死はどのような仕事を凌駕する圧倒的なものであるから。この死を前にして仕事における自己実現なんてものは相対化されてしまうのです。
幼いときに著者のような問題関心を抱かないと彼の言っていることは全く理解できないと思うが、実存の不思議さに目覚めてしまった人は彼と同じような問題意識をいだいているのではないでしょうか?
こういった人たちに対して彼は「真実を見なさい」と問いかけます。決して社会的に価値のあることを行い自尊心を満足させるわけでもなく、かといって社会的弱者であることを社会構造のせいにするのでもなく、ただ目に映る現実に向き合えと説いています。真の仕事とは社会的に価値があり自尊心を満足させるような仕事ではなく、社会的に価値が低かったり、名声が得られない仕事を通じてこそ世界の真の姿が立ち現れてくるということをしめしているんではないでしょうか?