『ライフ・アクアティック』『アメリカン・ビューティ』

まず、『ライフ・アクアティック』から。前から観たかったんですよ。主演は『ロスト・イン・トランスレーション』のビル・マーレイ。監督はウェス・アンダーソン。昨日観た『河内カルメン』の家のセットのように、潜水艦自体が舞台のセットになっていて人の動きがわかって凄く観ていて面白い。というかDavid Bowieの歌が結構途中に入ったりしていて、いいですね。映画は、最近は泣かず飛ばずの作品を出し続けている海洋研究者のドキュメンタリー映画監督と、そのクルーの冒険の様をつづったものですが、主人公の駄目っぷりが凄いよね。ラストの終わり方とか結構好きです。ただもう一度観るかというと正直きつい。


そして『アメリカン・ビューティー』。別にアメリカの家庭が抱えている問題がどうのという映画ではありません。何とか家庭という体裁を保つために、黙っている夫と向上心のある妻、思春期の娘の家族とその近隣住民の話ですが、別にゲイであろうが、ドラックであろうが、不倫であろうが、そういうものはあまり問題ではないでしょう。
あらゆるものをビデオに記録する隣の家の青年は途中までサイコな脱社会的存在として描かれているけど、いつのまにか立ち位置が反転していきます。ふて腐れていた娘は彼と交際することにより、世界に美を見出して幸福に至るのに加え、主人公自身もラストで決定的な変化が起こります。
何といってもビデオに記録したビニール袋が落ち葉と共に宙に待っている映像を見ただけで震撼しました。ただのビニール袋でも美を見出すことが出来ることを非常に説得的に描いています。
世の中は生きるに値しないという考えはこういったものの前では無力であることを語っているんですが、それは自分の卒論にも関わってくることなのでとにかく感動でした。

ライフ・アクアティック [DVD]

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アメリカン・ビューティー [DVD]

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