東・大澤『自由を考える』

自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)

自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)

この前『波状言論S改』を購入したので、この際に再読。対談本はあまり集中力を使用せずに読むことが出来るので電車で読むにはいいかと。
規律訓練型と環境管理型の二つの権力の重点の移動によって引き起こされた、バランスを欠きつつある「匿名性の自由」をいかに擁護するのかというのが二人に共通する問題意識でしょう。二人とも社会に規範を与える「第三者の審級」(大澤)が失効し、人間が動物化しつつある現代で自由をいかに定義するのか、そして人間が固有な存在として起ち現れてくるための「匿名性」をいかに担保するための概念をどうやって発明するのかということ。
二人が共通している点では偶発性というものを肯定的に評価している点でこれには共感。