空中庭園

本日バイトの仕事をものすごい勢いで終えまして、ユーロスペースへ。やっと観ましたよ空中庭園
確実に今季観た映画で最高傑作。まあ僕がこの手の映画に非常に弱いってのがあるけどさ。

空中庭園
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 ニュータウンに建てられた大きな分譲マンションで暮らす京橋家は「何事もつつみかくさず、タブーをつくらない」というのが決まり。一見平和そうに暮らしてはいるものの、夫(板尾創路)は2人の女と不倫をしたり、二人の子供もそれぞれ隠し事を持っている。
 やがて愛人の一人であるミーナ(ソニン)が子供の家庭教師として家庭に入って来ることで、平和ではあるが空虚な家庭生活が壊れていく。


以下ネタばれあり。
 主人公の絵里子(小泉今日子)は過去のトラウマから、幸せな家庭を築こうと日々努力している。そのためには感情を押し殺して作り笑顔をしたりするし、夫の浮気にもうすうす気づきながら「隠し事はしない」という家族のルールを守るために知らぬふりをしているのだ。
 京橋家を家族たらしめている共通のルールを遵守させるべくもがくことで、かえってしゃべることが出来ない秘密をどんどん生んで、家族は空虚なものとなっていく。そこで登場するのがミーナだ。
 彼女がこの家族の嘘にすぐ気づき、けれどもそれが普通に振れられず皆が家族の役割を振舞っている姿を露呈させることで、絵里子が描いていた家庭像は一気に崩壊。


けれどもここから起こるラストへの展開がすばらしすぎ。家族が家族たりあるのは別に到達不可能な家族を目指し決まりを遵守することではない。ラストで絵里子を、そして四角く空虚な分譲マンションを血の雨が流すように、形而上学的なものを追い求めるのではなく、嘘を嘘で塗り固めても、なお最後に残る地盤へと再び家族が集まってくる。
ラストでの幸福感あふれるつくり笑顔ではない絵里子の真の笑顔でやられた。

また観るわ。