IT社会で求められる経営者の能力とは

茂木さんの一連のインタビュー
IT社会で求められる経営者の能力とは
【前編】企画書と違うことをいかにやるか――創造性豊かな企業の必須条件
http://premium.nikkeibp.co.jp/itm/int/01/
【後編】今まさに本格的なIT時代だからこそ、「判断力」「直感」「行動力」が決め手に
http://premium.nikkeibp.co.jp/itm/int/02/

前半は情報の増大による脳の使用法の変化とそれに伴う仕事の変化について。論理的思考のみが重要なのではなく、大事なことは

まず行動を起こす――これがなぜ大切かというと、経験が絶対に論理を超えているからなんです。論理で予想できるようなことはわざわざ経験する必要がないですから。何の脈絡もなく入ってくるからこそ、経験というものには価値があるわけで、僕はそれを、ITを使ってうまくやるというのが今後のITの重要なテーマだと思っているんです。

僕は研究する立場にいますが、仮に部下をマネジメントする立場であったとしたら、社員のセレンディピティをいかに高めるかということを真剣に考えるでしょう。つまり、Aを実現している最中にBに出会ったことを許す組織じゃないと、創造性豊かな企業には育てられない。「企画書と違うじゃないか」ではなく、「企画書と違うことをいかにやるか」ということなのです。

 そして、“脳をいかにオープンシステムとして考えるか”ということも重要です。論理が閉じているのに対して脳はオープンで、外界と自分の無意識との間で絶えずやりとりをしていないと、ちゃんと働いてくれないし、新たな創造もないんですよ。

後半は優秀な経営者がどこが秀でているかについて。IT化が徹底的な時代だからこそ、IT以外の所で優位性を打ち出す必要性あり。

──最近は情報量や選択肢が多すぎて、そのため逆に、ディシジョンメイキングに迷うといったことも多いように思われます。今後、企業をより発展させていくためには、経営者はどのように情報を活用し、ディシジョンメイキングを行っていけばよいと考えますか。

茂木: 選択肢が多すぎて選べない人って居るんですよね。なぜ選べないか。答えは簡単です。意識的に選ぼうとしているからなんですよ。

 でも、そのやり方は間違っていて、実は脳は無意識に選んでいて、意識というものは後からそれを追認するだけなのです。それは脳科学の研究で既に分かっていることなのです。僕の場合、何を選択するかについて悩むといったことは全くありません。それは、こういった脳の働きを知っているからなんです。何も考えずに無意識に選べばよい。それを変に意識を介在させちゃうから、うまくいかなくなるんです。

思うに、コンサル出の人間が優秀な経営者たりえないのはこういう論理的な部分に頼りすぎてるからか?まあ、経験てことですかね。