受取人不明
NTTデータ筆記撃沈の衝撃を引きずりながらとぼとぼと新宿へ。映画始まる時間が7時10分だと思ってたら、7時で少し最初の5分観れなかったし。大切なシーン見逃して痛い。
ストーリーは韓流ドット・ネットの作品紹介より
黒人米兵との混血児チャングク(ヤン・ドングン)の母は、帰国した夫に手紙を送り続けるが、いつも「受取人不明」というスタンプを押されて返送されてしまう。そんな母のことを愛している犬商人(チョ・ジェヒョン)の下で働いていたチャングクだったが、仕事とはいえ犬を殺すことができず葛藤していた。チャングクの唯一の友人であるジフム(キム・ヨンミン)は、女子高校生ウノク(パン・ミンジョン)に想いを寄せていたが、彼女は幼いころの事故が原因でコンプレックスを抱えていた。そのせいで、いつも前髪で顔の半分を隠し、笑顔を見せることもなかった。そんなウノクも飼い犬にだけは心を許していたのだが、ある日その犬がいなくなってしまう。ジフムはウノクのために、一生懸命に犬を探すのだが・・・。
今回も唖然としてしまいました・・・。とてもきれいな映像と相変わらずの肉を砕く鈍い音、音、音・・・。叙事的な風景描写と独特の暴力表現で後味を引きます。けど、その痛みに対する共感を排しているように感じるのは何故だろう?わかりませんが、ただ直接映像として見せるのではなく音で表現するからでしょうか?
この映画で気づいたのはだれかの主観に即してストーリーが広がるのではなく、もっとメタ的な立場から描いている点。韓国/アメリカという構図があるが、一方的にアメリカを否定的には描かない。在留しているアメリカ兵も、少女暴行とか悪のレッテルを貼られるわけでなく、故郷から離れた孤独な存在として描かれている。
またここで描かれている人物は全て傷を持っていてそれを引きずりながら生きている。決して観念的になるのではなく、カメラは傍観的にその風景を切り取る。全ての登場人物は最後お互い交わることなく、すれ違い時が過ぎていく。最後まで手紙を受け取ることはない。
個人的には、世界は人間の理性で捉えられるものや物語みたいに筋があるものではなくて、出鱈目に満ちていているわけで、そういったものを彼はブラック・ユーモアをふんだんに盛り込みながらそういったものの貧困を指摘する。そういった意味で意地の悪い映画だね、これ。また観ます。
色々なサイトを内外問わず巡回してみたんですが、メモ程度にピックアップ
- http://www.lovehkfilm.com/panasia/address_unknown.htm*1
- http://homepage1.nifty.com/miki/d-korea-1.htm
- http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/output.php?number=34
*1:この解説の中で"Eun-ok herself lives a troubled life: she has a cataract on her eye, and her only pleasure seems to be "playing" (sexually) with her puppy."てあるが、笑ったよこれ。確かにこういうシーンあるけど、彼女を説明するのにsexually playingって・・・。もっと他の説明のしかたあるでしょ。