『ある朝スウプは』

夜に時間が少し空いたのでユーロスペースでレイトショー。前からみたかったやつ。

ある朝スウプは
http://www.pia.co.jp/pff/soup/home.html

この映画を予算3万で撮っているなんてあり得ない…。古アパートに逆光気味に差し込む光やご飯や味噌汁から出る湯気、木の陰。参りました。以下、ネタばれあり。

ストーリーはパニック障害に陥いり社会生活が送れなくなった主人公北川が、新興宗教セミナーにはまっていくのを同棲している恋人の志津が食い止めようとする。古アパートで一緒の空間にいる二人は徐々に別々の空間を生きていること明確になっていく。
非日常の世界に引きずろうとする北川とそれを日常の世界に戻そうとする志津の空虚な駆け引きの末に二人の関係は「他人」であるがために破局を迎える。

圧巻はトイレに立てこもった北川と追い詰める志津のやりとり。「世界を覆うカルマが…」と宗教の世界に耽溺する北川を「抽象的なことばっか言って」と志津が罵倒するが、逆に宗教に何故はまってはいけないのか、その理由は何かと聞き倒し、言葉を詰まらせてしまう。北川が言うように「何を信じてもいいだろ」ってこと

最終的に二人の生活は春に破局を向かえ、最後の朝食をすませ出て行くわけだけれども、「他人なのね」の言葉で終わるのか、他人だからこそとそこで思えるのか。次の瞬間はどうなるのか。

とにかく共通の狭い空間で流れる日々の風景の微々たるものから、二人の世界観が決定的に異なる経過が描かれていてすごい。