ブラック・ホーク・ダウン

ブラックホーク・ダウン [DVD]

ブラックホーク・ダウン [DVD]

この映画はある意味レベルが高いです。映画を観る人自身の知識やリテラシーみたいなものが問われているからです。
正確にかけそうにないのでhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=236636から

 1993年、泥沼化する内戦を鎮圧するためソマリアに兵士を派遣したアメリカ。なかなか収束しない内戦に焦り始めたクリントン政権は、10月3日、ついに敵対するアディード政権の本拠地への奇襲作戦を決行するため特殊部隊を投入した。作戦はものの1時間足らずで終了するはずだった。しかし、敵の思わぬ逆襲に遭い、ヘリコプター(ブラックホーク)が撃墜されてしまう。敵の最前線で孤立する兵士たち。やがて、救助に向かった2機目も撃墜されてしまう。その間にも、兵士たちは必死に応戦するが、一人また一人と仲間が倒れていく…。

という内容。アマゾンのレビューとかだとアメリカ礼賛の映画だと酷評しているものが多いが、この映画はそんなことが言いたいんじゃないんでないの?個人的に観た感想は言い方は悪いけど非常に『滑稽』な映画だなと感じた。何故滑稽なのか?
確かソマリア侵攻は国益とかではなく人道的見地から国連軍がソマリアへの軍事介入をしたというものであり、映画で描かれる米軍も自分たちの利権というより人道的見地から介入したはずだった。しかし彼らを待っていたのは、石を投げつけ沸いてくるように襲ってくるソマリア兵や民衆たち。この戦争で戦う兵士はそういったものに戸惑いを隠せない。
作戦は当初アディード政権の本拠地への奇襲作戦ですぐ終わるはずなのに、途中から戦争の目的が仲間を一人残らず救出することへとシフトしていく。墜落したヘリの中で生存し、ソマリア軍に抵抗している少数の者を救い出すために、多数の兵隊が投入されていく。当初の目的を離れ、仲間救出がこの作戦の主要な目的であり、それのみが彼らを前に進ませている。

以下ネタバレ注意。ラストで『何故戦うのか?』という新兵に対し、『自分のプライドとかじゃなくて仲間のためだ(大意)』と答えるシーンが滑稽。少数の仲間を救うために大勢の兵士を救出に向かわせるのは普通に考えたらありえない。けど、戦場では人道とか民主化とか抽象的な論理はことごとく挫折して、結局そのようなものでしか兵士たちの動機付けが出来ない。
『仲間のため』というのは、感動を与えるフックではなくて、戦場ではそういったものでしか兵士は動機付けが出来ない、ということだからこの映画で『仲間のためだ』と答えるのが私にとっては非常に滑稽であり、とても寒々とした想いをしました。監督の意図とかあるか分からないけど、解釈の仕様によってはアメリカ礼賛の映画でもないし、男たちの友情を描いたものでもないし、むしろこの作戦の失敗によって露呈した挫折を描いているんではないでしょうか?

この軍事介入とか知識なさすぎるので誰か教えてくれ〜